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週刊書評 ::: 世界悪女物語 [book]

世界悪女物語 文春文庫

世界悪女物語 文春文庫

澁澤龍彦『世界悪女物語』(文春文庫)

(河出書房新社『澁澤龍彦全集(4)』[amazon]収録)

幻想と驚異、エロティシズムに満ちた夢の王国=ドラコニアを、博覧強記のペダントリーと端正な文体で築き上げた作家、澁澤龍彦。その初期のエッセイの一つが、この『世界悪女物語』(1964年初版)である。 ちなみに、『世界悪女物語』の雑誌連載当時の澁澤龍彦は、作家としてよりも、サド裁判の被告として、世に名の知れた存在であった。1959年にマルキ・ド・サド『悪徳の栄え』の翻訳を出版した澁澤龍彦は、翌年に猥褻文書販売同目的所持の容疑で起訴され、同書は発禁処分とされたのである。

(なお、初版当時はそうして社会問題となった、サドの『悪徳の栄え』ですが、現在は、一般の書店でも普通に販売されていて、いつでも買って読むことが可能です…)

そうしたスキャンダラスな若き文筆家としての、澁澤龍彦が、世界史の中から選び抜いて、そのドラマチックな生涯を華麗な筆致で描き出したのが、以下の13人の悪女たち。ルクレチア・ボルジア、エルゼベエト・バートリ、ブランヴィリエ侯爵夫人、エリザベス女王、メアリ・スチュアート、カトリーヌ・ド・メディチ、マリー・アントワネット、アグレッピナ、クレオパトラ、フレデゴンドとブリュヌオー、則天武后、マグダ・ゲッベルス。後年の澁澤龍彦自身の定義によれば、「悪女」とは、「美貌と権力によって悪虐のかぎりをつくした女性、あるいはまた、愛欲と罪悪によって身をほろぼした女性」のことである。

では、この13人の悪女たちの中で、最も悪女らしい女性は誰だろうか?

私にとっては、可愛らしく小悪魔的で、男性の心を惑わしてトラブルを引き起こした、震いつきたくなるような悪女よりも、彼女の恐ろしさに思わず身震いしてしまうような悪女、純粋に邪悪で残忍無類な、もっと性質の悪い女の方が、はるかに印象深い。その最たる人物として、エルゼベエト(エリザベート)・バートリについて紹介しておきたい。「血まみれの伯爵夫人」との異名で名高いこの悪女は、血が自らの美しさと若さを保つための秘訣だと信じ、600人以上もの若い娘を殺して、その血の中に身を浸した、と伝えられている。また、彼女は、「鉄の処女」という拷問処刑機具を考案して製作させ、実際に使用したことでも知られる。そして、晩年、その長年の罪悪により裁かれ、居城に幽閉されながらも、彼女は良心の呵責や悔恨の念を感じることすらもなく、死ぬまで正気だったという…これぞまさに悪女!実に類稀なる極悪非道ぶりではないか![bitway]


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